眼鏡の奥の眼差し

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携帯を閉じて、もう一度溜息をついた。 今日も、このまま帰るかな。 「佐伯、悪い!」 「え?」 パソコンをシャットダウンしようとした時に、同期で営業の倉本が、いきなり謝って来た。 そして、申し訳なさそうに、眉を下げながら続ける。 「明日までに、この資料直さなくちゃならなくて…手伝ってくれないか?」 時計をみれば、もう既に退社時間を過ぎている。 倉本の補佐の子はもう既に退社してしまったのか、姿が見えない。 私の担当では無いが、倉本が頼んできた事からすると、私にも手伝える内容なのだろう。 諦めたように、短く溜息を吐いて、倉本の持つ資料へと手を伸ばした。
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