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乱れた息を整えるように、ベッドの上で浅い呼吸を繰り返す。
この部屋に入った時から、お互いに言葉は無い。
それは、行為の最中も、行為を終えた今も同じだった。
何か言おうとしても、全て黒沢さんの唇に遮られてしまって、言葉にならなかった。
何度も何度も口を塞がれた。
名前を呼び合う事もしないのに、塞がれる口はどこまでも甘く。
そこに
「愛」
なんて錯覚を
感じてしまったくらいだ。
乱れた呼吸が整った頃。
ベッドの下に投げ捨てられたようなバッグを拾い、その中から煙草を取り出す。
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