第1章

6/18
前へ
/36ページ
次へ
息をするのも忘れていると、 伏せて煙草を見つめていた黒沢さんの漆黒の瞳が、私の瞳とゆっくりと重なった。 重なった視線に動揺し、慌てて息を吸い込むと、ジリジリと触れ合った煙草の先が火を灯した。 「ご馳走さま」 そう言って ゆっくりと離れた 黒沢さんの大きな口は 綺麗な弧を描き 意地悪に微笑んだ。 悔しいけど、 それが酷く似合っていた。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加