第1章

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煙草を吸う横顔に、見惚れていると、黒沢さんは怪訝そうな顔を向けてきた。 「…灰、ベッドに落とすなよ」 そんな言葉で、ようやく我に返る。 私が手に持ったままだった煙草はいつの間にか短くなっていた。 慌てて灰皿に擦りつける。 何、見惚れてるんだか。 ハァ。 思わず、溜息をひとつ。 本能に逆らえず、ヤってしまったけど、どうしてこんな事になってるんだろう。 こんなはずじゃ、なかったのに。 こんな軽い女じゃ、無いはずなのに。 そもそも、黒沢さんも一体どうして今夜誘って来たんだろうか? 「ねぇ、」 「あ?」 「何で、抱いたんですか?」 灰皿を見つめたまま、黒沢さんの顔を見ずに問いかける。
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