たった一度の甘い囁き

3/18
前へ
/40ページ
次へ
「どうした?」 耳元で聞こえる声にぞわぞわする。 電話って、耳元で囁かれているような気がしてくるから危険だ。 弱い右耳から、左側へと携帯を持ち返す。 右耳よりは、いくらかマシな気がする。 「……何、してたんですか?」 「家だよ。風呂入ってた。」 風呂、と言われて、黒沢さんの綺麗に鍛えられた身体を思い出す。 割れた腹筋。 逞しく厚い胸板。 がっしりとした肩と腕。 じわっと身体の芯が熱くなる。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加