たった一度の甘い囁き

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無言でいると、変に思ったのか黒沢さんが問いかけてくる。 「おい、どうしたんだよ。」 「……さっきまで、同期と飲んでたんです。」 「へぇ、」 ポツリと呟いても、黒沢さんの声に変化は見られない。 だから?と続きそうなくらい、興味が無さそうである。 少しだけ間を開けて、もう一言。 「告白、されました。」 どんな反応が返ってくるのか、わからず、ドキドキする。 しかし、そんな動悸は一瞬だけ。 すぐに冷たい声が、左耳に届く。 「だから?」 「え?」 「だから、どうしたんだよ。」 どうした、と言われても返す言葉は無く、困惑していると、クスリと笑う声が耳に届いた。
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