第40章

6/8
3235人が本棚に入れています
本棚に追加
/977ページ
「や、 賢介くんのほうが驚くほど決まってる!」 てっきりいつものみゆきさんなら照れるかと思いきや、 心の底からおれを褒めているようだ。 「っていうか、 賢介くん、もしかしてその格好って……」 不安や戸惑いをうつすように、 おれを見る目が小さく揺れ動いている。 みゆきさんの視線の先は確かにおれにあるのに、 どこか遠くを見るように。 まさか初対面のときのおれの記憶が甦った? それとも勝のところで見た写真でも思い出したのだろうか。 ざわつく胸を抑えて、 「……どこか、おかしいですか?」と冷静に聞くと、 みゆきさんは小さく首を横に振っておれを見た。 「あー、うん、 ……信じてもらえないかもだし、 いいやっ、なんでもない」
/977ページ

最初のコメントを投稿しよう!