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「や、
賢介くんのほうが驚くほど決まってる!」
てっきりいつものみゆきさんなら照れるかと思いきや、
心の底からおれを褒めているようだ。
「っていうか、
賢介くん、もしかしてその格好って……」
不安や戸惑いをうつすように、
おれを見る目が小さく揺れ動いている。
みゆきさんの視線の先は確かにおれにあるのに、
どこか遠くを見るように。
まさか初対面のときのおれの記憶が甦った?
それとも勝のところで見た写真でも思い出したのだろうか。
ざわつく胸を抑えて、
「……どこか、おかしいですか?」と冷静に聞くと、
みゆきさんは小さく首を横に振っておれを見た。
「あー、うん、
……信じてもらえないかもだし、
いいやっ、なんでもない」
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