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蓮は、自分の無力さを痛感した。
しかし、これから先、ガレの身にあの時以上の危険が及ばないようにすることは、自分の努力にかかっている。
たくさんの人間を救ってきた、ガレ。
そして、大きな傷を負いながらも、これから先も人を救う覚悟を決めたガレ。
どちらも同じガレだが、蓮は、そうとは受け入れられずにいた。
蓮が最初に乗り越えなくてはいけないのは、その弱さだった。
蓮は、その前途にかかる暗雲を見て、震えることしかできない今を、疎ましく思った。
それを何となく感じとっていたガレは、笑顔をみせ、明るく振る舞うのだった。
その笑顔に、胸にちくりと刺さるものを感じ、蓮はガレを直視できず、顔をうつむけた。
「いろいろあったようだけど、きっと思い出すから、待ってて。大丈夫だよ、ガレって人間は、そんな弱い人間だった?私は、すごい人間なんだって言ってくれたのは、蓮でしょう?」
「そう…ですね」
蓮はそう言ってさらにうなだれる。
ガレが困ったようなのを蓮は感じとり、いたたまれなくなった彼は、だまって部屋を出た。
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