5人が本棚に入れています
本棚に追加
どうして、自分は、こうも弱いのか。
守ってもらうばかりで、自分というものはないし、生涯をかけてなしえるべき何かも見つけられていない。
そう思うと、泣けてきた。
これなら、三島の方がまだ、自分をもっている。
くわしくはわからないが、三島が金を得るためにやっきになっているのは、夢を叶えるためだ。
三島は、今の世の中、金がなくては叶わない夢があるということを知っている。
そのためには、犠牲にしなくてはならないものがあることを知っている。
しかし、自分は、半端な正義感から、そんな三島を心の底からは認められずにいる。
何て、ずるい人間なんだろう。
三島をさげすむ資格なんて、自分にはない。
スタートラインにすらついていないのに、さも走り切ったかのように、汗をぬぐい、水を求める。
欲望のままに生きているのは、三島よりむしろ、自分の方だ。
こういう人間が、世界をだめにしていくのかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!