虚偽と真実

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どうして、自分は、こうも弱いのか。 守ってもらうばかりで、自分というものはないし、生涯をかけてなしえるべき何かも見つけられていない。 そう思うと、泣けてきた。 これなら、三島の方がまだ、自分をもっている。 くわしくはわからないが、三島が金を得るためにやっきになっているのは、夢を叶えるためだ。 三島は、今の世の中、金がなくては叶わない夢があるということを知っている。 そのためには、犠牲にしなくてはならないものがあることを知っている。 しかし、自分は、半端な正義感から、そんな三島を心の底からは認められずにいる。 何て、ずるい人間なんだろう。 三島をさげすむ資格なんて、自分にはない。 スタートラインにすらついていないのに、さも走り切ったかのように、汗をぬぐい、水を求める。 欲望のままに生きているのは、三島よりむしろ、自分の方だ。 こういう人間が、世界をだめにしていくのかもしれない。
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