虚偽と真実

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ストーカーが、殺人に踏み切ったのは、それから三週間ほどたった、12月24日のことだった。 それは凄惨な殺しだった。 体中をめった刺しにされた後、バラバラにされ、操り人形のように紐で人型に繋がれて、都内のクリスマスツリーに磔のように結わいつけられた。 それは、ストーカー殺人にしてはおかしな点が多くあった。 ストーカーは、相手を独り占めしたいという欲求を持っている。 なのに、遺体を多くの人が目にする場所に遺棄するというのは、ストーカーの心理上、おかしな話だった。 愛情が憎悪に変わっただけのことだ、と三島は言ったが、本当にそれで片付く話なのだろうか、と蓮は疑問を払拭できずにいた。
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