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それから一週間、"聞き込み"からは殺人が起こる予兆はなく、平和な日々が続いた。
しかし、三島の一報から、地獄は始まる。
蓮が、ガレが寝泊まりしているホテルの近くのコンビニで買い物をしていた時、スマホに三島から連絡が入った。
「鴨葵が逃亡した」
「なんだって?どういうことだ?」
電話に出た蓮が緊迫した声をあげる。
鴨葵とは、ガレをパラフィン標本にしようとし、ガレから記憶を奪った人間だ。
「警察は何をやっていたんだ!」
「俺に言われてもな。まあ、とにかく、注意してくれ。鴨がつかまるまでは、部屋を出ない方がいい。ガレは今、そこにいるのか?」
三島の言葉に、蓮はみるみる青ざめる。
「それは、まずいな。はやく行ってやれ」
そう言って笑ったのか、ふ、と息をもらす三島の声は、もう蓮の耳には入っていなかった。
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