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気がつくと蓮は、血だらけの拳をにぎって部屋の中心にたっていた。
その足元には、顔の原形をとどめないほど殴られ、息絶えた鴨の姿があった。
我に返った蓮は、ガレの姿を探す。
気を失っているようだが、体に傷などはない。
蓮は、ガレのもとに行こうと足に力を入れるが、それは、棒のように動かない。
呆然とする中、蓮は、近くの鏡をみやる。
血みどろの体。
しかし、それ以上に蓮を戸惑わせたのは、自分の目が、燃えるように真っ赤で、髪が白くぼんやりと光っていることだった。
一体、これは、何だ――。
しかし、その姿は一瞬でもとの蓮の姿にもどる。
幻影でも見ていたのか――。
その時、棒のように動かなかった足が、蓮の意志にしたがって動きだす。
「ガレさん、大丈夫ですか?」
ガレをやさしくだきあげて、蓮が問う。
答えはない。
「ああ、やっちゃったね」
その声に蓮がふりかえると、三島が立っていた。
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