5人が本棚に入れています
本棚に追加
翌日、蓮は退院の手続きをすませ、ガレのもとに向かう。
隅田診療所という、小さい病院だった。
看護師の案内で、蓮は、ガレの病室に入る。
「だれ?」
ガレが問う。
その姿は、死に別れた時の白菊そのものだ。
違っていたのは、その髪が、白いこと。
「卯野蓮です。覚えていますか?」
「知らない」
そう言ってガレはふいとそっぽをむき、近くの窓から外をみやる。
「あなたは、ガレさん、ですよね?」
「そうらしいですね。よく来てくれる男の方がそう呼びます」
三島のことだろう。
「ガレさん、自分のこと、知りたいですか?」
蓮がうつむきながらそう問うと、ガレは、きょとんとした顔をしながらも、うん、と返事をした。
蓮のほほを涙が一筋伝う。
それをみたガレは、何か悪いことでも言ったかと、困惑した顔をする。
最初のコメントを投稿しよう!