宣告者

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初音先輩が天に帰還してから半年がたった…。 今でも志穂先輩と初音先輩の事はよく話す。 数々の犠牲をはらって魔族に勝利した私達だけど、それが正しかったのかはほんとの所分からない…。 勿論、魔族に勝たなくちゃ私達に未来は無かったんだけど、志穂先輩の親友の優香里先輩や初音先輩…数々の人達の犠牲の上に成り立った世界…それはほんとうに正しい世界なのだろうか…。 改編前の世界の私は…それは凄い性格をしていた…先輩を呼び捨てにして、更に激しく上から目線…そう教育されたとは言え、我ながら恥ずかしい…。 でも志穂先輩や初音先輩はそんな私の事をあっさりと受け入れてくれた。 そう、私にとっても志穂先輩や初音先輩は大切な親友なのだ。 でも初音先輩は今は天にいて私達ともう会うことはできない…。 おそらく能力者の中で一番辛い人生を歩んで来たのは初音先輩だ…神様になったと言えば聞こえはいいだろう…でも、大好きな志穂先輩や大切な人達と別れて永遠の時をたった一人で生きて行く…それは幸せなのだろうか…?少なくとも私にはそうは思えない…。 私だったら耐えられない。 初音先輩の話はよくするけど、志穂先輩は会いたいとは口にしない。 でも初音先輩に一番会いたいのは志穂先輩だと思う。 誰よりも優しくて人の痛みを知っている志穂先輩…優香里先輩だけじゃなく、初音先輩にももう会えない…私は志穂先輩にとっての優香里先輩や初音先輩になれるのだろうか…?。 勿論、志穂先輩ならエリナちゃんはエリナちゃんだよ、と言ってくれるだろう。 でも優香里先輩や初音先輩がいなくなった心の溝は大きい。 その溝は決して私では埋められないのだろう…。
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