声に恋した男

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「パプリンタン!」  ビクッと肩を竦め、恐る恐る振り返る進藤伊沙美。 「今からおれの部屋に来なよ……。おれがどれだけパプリンタンの事が好きなのか、見せてあげるからさ……!」  進藤伊沙美、いやパプリンタンの腕を掴み、強引に引っ張った。  彼女は抵抗するもその力は弱く、消極的な性格が災いし大声を出す事もできないでいる。 「ほら見て、パプリンタンのお面を作ったんだ。これをつければ恥ずかしくないだろ? さあ、何か言ってくれ。声を発してくれ。おれにあのロリボイスを聞かせてくれえええっ!」  すると観念したのか、彼女はようやくその小さな口からボソボソと声を発した。 「……は、離じでぐだざぁい゙」  …………あれ?  声が、全然違う。  地声だから? いや、そうだとしてもガラガラ過ぎるだろ。  あまりにも、パプリンタンとは掛け離れている-- 「ヤメロッ!」
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