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『ここが入り口だ』
今ここには、スフィンクスはいない。クレオとマルクスの小さなペンダントのスフィンクスが話しているのだ。紅葉は聞いた。
「スフィンクス、おまえ、今はどういうふうに、あたしたちを認識してるんだ?」
『意識を集中して、そのモニュメントから見ているのだ』
「なるほどねー、ああ、ありがとう」
『容易いことだ』
ここは、スフィンクスを背中に見て、ピラミッドの中心の最下層に当たる。先頭は、マルクスが松明を持ち、みんなを誘導している。ただただ、まっすぐと進んだところに、黄金の棺がある。
「これって!」
紅葉が驚いた。
『その棺の中を、見るがよい』
紅葉は覗いた。
『今そなたが見ているのは、カエサリオン。知っておるだろう』
「答えられなかったら、食われるのか?」
『それも良いな』
「クレオパトラの息子だろ」
『チッ!』
「おまえ、本当に食うつもりだったのか」
紅葉は、もういろいろと、想像がついたのだ。
「しかし、どうやって、ここに運び入れたんだ?」
『我には、ほんの少しだがヒトを誘導する能力も与えられた。奴隷どもに、持ってこさせたのだ、命と引き換えにな』
「やっぱ、ヒト、食ってんじゃねーか!」
『いや、脅しただけだ。食う能力は備わっておらんかった。少しずつ、生気を吸い取るだけだ』
ここにある棺は、100は有に超えるだろう。
「なるほど、骨から、生命を吹き込む能力があるのか」
『その通りだ、その骨から、マルクスは生まれたのだ。再生ではなく、生成したのだ』
「クローンてやつだな」
『現代では、そういうのか?』
「ああ、そういうんだ。生成の時間は?」
『一瞬だ。数秒もあればできる』
「大した能力だな」
『恐れいったか!』
「うるさいわ!」
『アーハッハッハー!』
スフィンクスは、かなり砕けてきたようだ。クレオもマルクスも、ちんぷんかんぷんだった。
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