黄金のピラミッド

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「ああ!そうだ!スフィンクス! 今のクレオに、なにか能力はあるのか?」 『ある』 「えー!あるのー!」  クレオは驚いた。 『クレオは気づいてないだけです。披露してみますか? 我は一切、能力は使いませぬ』 「うん!やってみたい!」  クレオは、神に祈るようなポーズを取っていった。 『では、目をお瞑りください』 「うん、瞑った」 『そこに何やら見えませぬか?』 「んー、あ! この辺りに、小さな光が」  クレオは右手を前に出し、斜め前方に指で丸を書いている。 『では、そこに集中してください』 「うん、あ、大きくなっていくね」 『そのまま続けてください。全体が光に覆われるとわかります』 「うん、やってみる」  クレオは真剣な顔だ。紅葉は、つばを飲み込んだ。そして、クレオは目を開けた。 「へー!そういうことなんだ!」 「え、クレオ、どうしたんだ?」  紅葉は心配そうに聞いた。 「ダメだよ、本気で持って帰ろうと思ってるでしょ、マルクス」  ――まさか!―― 紅葉は驚いた。 「ヒトの考えていることがわかるのか!」 「うん、そうみたい。集中した時だけ、わかるよ。だから、今はわかんない」  マルクスは、身を隠している。 「マルクス! 隠れても無駄よ! 出てらっしゃい! 出てこなかったら、考えていることいっちゃうよ!」  マルクスは脅された。仕方がないので出て行ったのだ。 「別にいいじゃん、知られたって」 「いいえ! 滅相もございません!」 「いわないよ。ありがとう、マルクス」  クレオはマルクスの頬に、キスをした。紅葉は、マルクスをいやらしいものを見る目で、横目で見ていた。 「おい、マルクス。クレオは元メス猫だぞ、それでいいのか?」  マルクスは答えなかった。 「あ! よく考えたら、今のわたしの身体って、棺にあったってわけなの?」 『その通りでございます』 「じゃ、この顔とこの身体は、クレオパトラそのものなの?」 『ほぼ、そういうことになります』 「そうなんだ!でも、わたし、自分の顔を見たことないけど」  そう。クレオはまだ、自分の顔を、鏡で見たことがなかったのだ。 『クレオ、もうひとつの能力をお見せください。今度は、左端にも、光るものが見えると思います』
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