8人が本棚に入れています
本棚に追加
「ああ!そうだ!スフィンクス! 今のクレオに、なにか能力はあるのか?」
『ある』
「えー!あるのー!」
クレオは驚いた。
『クレオは気づいてないだけです。披露してみますか? 我は一切、能力は使いませぬ』
「うん!やってみたい!」
クレオは、神に祈るようなポーズを取っていった。
『では、目をお瞑りください』
「うん、瞑った」
『そこに何やら見えませぬか?』
「んー、あ! この辺りに、小さな光が」
クレオは右手を前に出し、斜め前方に指で丸を書いている。
『では、そこに集中してください』
「うん、あ、大きくなっていくね」
『そのまま続けてください。全体が光に覆われるとわかります』
「うん、やってみる」
クレオは真剣な顔だ。紅葉は、つばを飲み込んだ。そして、クレオは目を開けた。
「へー!そういうことなんだ!」
「え、クレオ、どうしたんだ?」
紅葉は心配そうに聞いた。
「ダメだよ、本気で持って帰ろうと思ってるでしょ、マルクス」
――まさか!―― 紅葉は驚いた。
「ヒトの考えていることがわかるのか!」
「うん、そうみたい。集中した時だけ、わかるよ。だから、今はわかんない」
マルクスは、身を隠している。
「マルクス! 隠れても無駄よ! 出てらっしゃい! 出てこなかったら、考えていることいっちゃうよ!」
マルクスは脅された。仕方がないので出て行ったのだ。
「別にいいじゃん、知られたって」
「いいえ! 滅相もございません!」
「いわないよ。ありがとう、マルクス」
クレオはマルクスの頬に、キスをした。紅葉は、マルクスをいやらしいものを見る目で、横目で見ていた。
「おい、マルクス。クレオは元メス猫だぞ、それでいいのか?」
マルクスは答えなかった。
「あ! よく考えたら、今のわたしの身体って、棺にあったってわけなの?」
『その通りでございます』
「じゃ、この顔とこの身体は、クレオパトラそのものなの?」
『ほぼ、そういうことになります』
「そうなんだ!でも、わたし、自分の顔を見たことないけど」
そう。クレオはまだ、自分の顔を、鏡で見たことがなかったのだ。
『クレオ、もうひとつの能力をお見せください。今度は、左端にも、光るものが見えると思います』
最初のコメントを投稿しよう!