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「へー、そういうすごい人の彫刻を盗ってきちゃったんだ。ゴクアクヒドーだね、スフィンクス」
クレオが無邪気に言った
『あ、まぁ、うーん…』
半分、軽蔑するように、紅葉が言う。
「まぁいいじゃねーか! 主人が恋しかったんだからさぁー?」
『そういうことだ!』
「威張るとこじゃねーよ」
「うふふふ…、どっちもどっち、なんじゃない?」
ふたりは、黙るしかなかった。
「あ! そういやぁ、クレオパトラの頭部の彫刻って、あるみたいだけど、あれはなんで取らなかったんだ?」
『頭部だけだと、姫様ではない』
「そんだけの理由で?」
『ああ、それだけだ』
「全身のは、なかったのか?」
『話すことは拒否する』
「ん? 何だ? 歯切れ、悪りーな」
スフィンクスは、返答しなかった。
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