【ミケランジェロ・ブオナローティ】の史実

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「へー、そういうすごい人の彫刻を盗ってきちゃったんだ。ゴクアクヒドーだね、スフィンクス」  クレオが無邪気に言った 『あ、まぁ、うーん…』  半分、軽蔑するように、紅葉が言う。 「まぁいいじゃねーか! 主人が恋しかったんだからさぁー?」 『そういうことだ!』 「威張るとこじゃねーよ」 「うふふふ…、どっちもどっち、なんじゃない?」  ふたりは、黙るしかなかった。 「あ! そういやぁ、クレオパトラの頭部の彫刻って、あるみたいだけど、あれはなんで取らなかったんだ?」 『頭部だけだと、姫様ではない』 「そんだけの理由で?」 『ああ、それだけだ』 「全身のは、なかったのか?」 『話すことは拒否する』 「ん? 何だ? 歯切れ、悪りーな」  スフィンクスは、返答しなかった。
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