8人が本棚に入れています
本棚に追加
「ひとつ持って帰って、分析してもらうか」
何個か洗って拭いてみると、みんな同じ形、同じ文様が刻まれている。三人の目で見ても、全て同一のものだった。
「いや、こんなことはありえないよ。切り出したとしても、多少は違いが出るものだが」
型取りをして作ったように、全て一緒のものだった。今度は、宝石として、スフィンクスに聞いたら、やはりレッドスピネルのようだ。製法のことも聞いてみたが、切り出すしかないと、スフィンクスは言った。そしてもしくは、能力、と。
「そうだよな。どう考えても、スフィンクスの言う通りだ。これは、能力を使って作り出したんだろうな」
スフィンクスに聞いた。
「これ、能力を使ったって、作った形跡はないか?」
『いや、残念ながら、わからぬな』
「持って帰って調べても一緒だな。なにもわからないだろう」
好奇の目にさらされると、面倒なことになる。これはここに隠しておこう。数えると、全部で、354個。当時の通貨の価値は分からないが、金持ちだったのかもしれない。
「これって、違うんじゃない?」
クレオが紅葉に手渡した。青い輝きを持った石。サファイヤか? 水で洗って、キレイにした。スフィンクスにも見てもらった。どうやら、サファイヤのようだ。レッドスピネルの文様と比べると、違っている。レッドスピネルの方は、数字の『3』を横にして、アルファベットの『Y』を突き刺したような文様だ。サファイヤの方は、よく似ているのだが、アルファベットの『W』に、数字の『1』を刺したような文様になっている。
「おもしれーじゃねーか!」
紅葉は、ワクワクが止まらなくなっている。
最初のコメントを投稿しよう!