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なにがでてくるのか?
昨日掘った場所を丁寧に掘り起こしたが、気になるものはなかった。この辺りは、崩れた家の、中心にあったもののようだ。
「よし!気を付けながら、家の建っているところを掘ってみようか!」
崩れてこないか確認したが、大丈夫のようだ。石の壁は、元々は平だったと想定できたが、くぼみや凹みがあり、水圧で、浸食されてしまったように見える。ここでは、新たな発見があった。食器類と思われるものが出てきたのだ。
「同じようなものが、4セットか5セットだな」
一概には言えないが、その枚数分の人が住んでいたのかもしれない。皿などは、すべで石で作られていた。これも、宝石度同様に、同じ形だった。
「やっぱ、能力で作った物のようだな」
しかも、割れてしまったものが少ないのだ。欠けは多いのだが。これが、石と陶器の差なのだろう。少し、休憩をとった。家の間取りを考えてみる。5人が暮らすにしては大きいように思った。使用人か奴隷がいたか。そういうことも考えられた。家畜小屋も、同じ場所にあったのかもしれないな。離れのような部分に、大きな広間のようなものがある。2階建て、というような構想はなかったようだ。階段は必要だから、その痕跡があってもいいと思った。クレオとマルクスは、何やらおしゃべりをしている。紅葉は、眩しそうにふたりを見ていた。
『ついに来たようだ』
誰も慌てなかった。
「やっぱり来たか、話だけでも聞くかな? どうする! 武器、ちらつかせた方がいいんじゃねーか!」
『相手に、戦う気はないようだ』
「ほう、ただの話し合いかな? クレオは、マルクスの後ろにいろよ。あたしがクレオの代理人だ。スフィンクス、三人だけに会話はできるよな? お前は話さない方がいいと思う。いい案があったら、三人だけに発言してくれ」
『わかった、そうしよう』
「さて! どこの国かな! 日本語か英語なら、助かるけどな」
『どういう具合に話をすすめるのだ?』
「相手の言い分をまず聞いてから判断する。そのあとで4人で会議だ。正直に話すことはないからな。もし話すことになったら、逃げちまってもいいんじゃねーかな?」
『そうか、任せよう』
「来ているのは前方だけか?」
『ああ、他には近づいているものはいないな』
「さて、楽しみだな!」
紅葉は、悪巧みを考える少年のように、舌なめずりをした。
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