始まりの出来事

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私は閉じていた目をこすりながら目を覚ました。バイトで忙しかったので講義中に寝てしまったのは仕方のない話である。しかし試験や今後の人生の何らかのネタになるので起きていた方がいいものである。 こんなことをいつも目覚めた際に考えてしまう。結果は何も変わらないのに。 しかし今日の私はある違和感に気が付く。 いつものようにマイクから伝わる教授の声が聞こえない。それだけではない。周りの生徒の板書する音も聞こえない。 私の耳がおかしくなったのか、と寝ぼけてる目を見開き周りを見渡す。そして私は自分の目を疑った。 周りにいた人々は固まっていたのである。私は自分の腕時計を見た。止まっていた。 私は故障したのだと思い、大学の壁に設置している時計を見るた。どうやらこちらも止まっているようだ。 つまり私が今いる空間は自分以外、時が止まっているということだ。 どうするべきか。時が動くのを待つしかないか。しばらく待ってみたが、何も動かないのでつまらなかった。 前の男の人に声を掛けてみる。 「あの……」 反応がない。声が小さかったのか。大きめで話しかけてみる。 「あのー……」 やはりダメか。なんとなく彼の頭を叩いてみる。やはり反応がない。それどころか石像みたいに硬くて冷たかった。 そして痛かった。 左を見ると女性が座っていた。 ノートを真剣に見つめたまま固まってる。そこには板書と教授の話が書かれていた。 女性が側にいるとやってみたいことがある。卑猥な奴だと思われてもいい。それでもやりたいことがある。 「ごめんなさい」 謝ってから手を伸ばせて胸を触ってみる。しかし固く冷たい。 私はショックを受けつつも彼女が反応しなくても言う。 「本当にすみませんでした」 やはり反応がない。
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