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でも……
なんだろう。
森川くんは強引は強引なんだけど、
誘うような視線もないし、
下心のような、いやらしさも、
全然感じない。
「ね。どこ行くの……?」
私は先を歩く森川くんに、小走りに駆け寄り、
横に並びながら声をかけた。
「まぁ、ついてこいよ」
森川くんは歩調を緩めることなく、
ネオンがキラキラと輝く夜の街を進んでいく。
たしか、この通りを抜けると、
ラブホテル街になっていた。
そこが目的地なのかもしれないけど、
だとしても、こんなにムードもなく?
「ね。
私、お腹がすいたんだけど……。
どこに行くにしても、ご飯くらい食べてからにしない……?」
森川くんに付いていくのが必死で、
いつの間にか、ここにいることを肯定してしまってる。
「あー。
そこでも食えるから大丈夫。
俺も腹減ったし」
確かに、
ご飯を食べさせてくれるホテルも、あるだろうけど……。
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