第二章:海の産む石、海に漂う石

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「もしもし、ママ?」 晴れ渡る秋の青空の下、遠目にも冴え冴えと白いシャツの背中が微妙に屈んで、携帯電話に語り掛けた。 やっぱり、ディーノではないかもしれない。 写真の男の子は、ギタと比べてももう少し小柄で華奢な体つきをしていた。 この人はスーパーの駐車場を通り抜けていく他の買い物客より頭半分は大きいし、肩幅も広い。 その割に頭自体は小さいので、何だか周囲の人間とは骨格全体の作りが違って見える。 「大丈夫だってば」 広い背中を震わせてカラカラと笑う。 蜻蛉(トンボ)が一匹、さっとその背中すれすれの空を横切った。
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