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「すみませんが、どなたでしょうか?」
口に出すと、思いの外、冷ややかな声になった。
スーパーに入っていく老夫婦も、こちらを振り向いている。
と、思う内に、二人はまた向き直って店の奥に姿を消した。
「すまない」
目の前の相手も急速に儀礼的な堅さを帯びる。
そうなると、白シャツの広い肩や抜き出た太く長い頸ばかりでなく、艶やかな黒髪も、太く真っ直ぐな眉も、ゆったりと歩み寄る調子も、全てがどこか尊大に映った。
秋風に混ざって流れてきたミントの香りが鼻を刺す。
見下ろす瞳に宿る光は何かを見透かすように冷徹だった。
「僕はアルフレード・スフォルツァだ」
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