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「私、買い物があるんで」
次の瞬間、ミントの香りがさっと広がって、右の手首を捕まれた。
「口止めされてるんだね」
低く刺すような声だ。
浅黒い顔は仮面さながら無表情だが、こちらの手首を握り締める手は強い。
今しがたすれ違ったばかりの母子が歩きながら、訝しげ、というより、むしろ不安げな顔つきでこちらを眺めている。
と、今度は左の二の腕を捉えられて、男と向き合わされた。
相手は勝ち誇った風な笑いを浮かべて告げる。
「君が嘘を吐く時の癖は知ってる」
言い終えると、彼の笑いはどこか哀しくなった。
私のプログラムってどうなってるんだろう。
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