第一章:琥珀の中の虫

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「事故?」 トマトから目を移すと、パパは訝しそうに片眉を吊り上げていた。 そういう表情をすると、ますます皺が目立っておじいさん臭い顔つきになる。 ここ半年で、特にそれが目立ってきた。 「車同士の追突事故よ」 蛇口を捻り、トマトの表面を軽くすすいでから、ナイフを取り出して切る。 刻んで料理してしまえば、凹んで出来た痣など紛れてしまう。
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