初見

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「南條!今日お前んちで遊ぶ?」 「あぁ叶大か。いいようちでも」 「今日俺んち来いよ。母さん遅番で夜遅いし この間買ったゲームの続きやろうぜ」 「賛成!遼臥んちに集合な!」 「OK恭司。じゃあまた後でなぁ」 俺と遼臥と恭司と叶大は 生まれた時からのご近所の幼馴染。 そろそろ小学校も卒業式を待つだけで 授業もない。 ・・・・・・が、毎日卒業式の練習で全校生徒の前に立ち 答辞・送辞の練習をさせられ正直うんざりだ・・・・・・・はぁ~。 「ただいまー」 声をかけたって 家の中には誰もいない。 長野でホテルを営んでいた両親は 父さんの父親、つまり俺の祖父ちゃんが亡くなった時に長野のホテルを叔父さんに任せて 東京のホテルを継いだ。 その為 週のほとんどは長野の家にはいない。 ここにいるのは俺と 5歳下で今小学1年生の弟の蓮と 父さんの母親でもあり俺のばあちゃんの3人だけだ。 ばあちゃんもまだ元気に農協で働いているから 夕方の5時過ぎまで誰も帰って来ない。 蓮はまだ小さいから学校が終わったら学童に通っている。 俺は自分の部屋に鞄を放り投げて ゲーム機とソフトを持って遼臥の家に向かう。 向かうったって 道路を挟んだ反対側なんだけど。 俺の家の右隣が恭司の家、左隣が叶大の家。 遼臥の家だけ道路隔てた反対ってだけで 学校の行き帰りも 遊ぶのもいっつも一緒だ。 玄関を出て 鍵も閉めずに外に出る。 ふと遼臥の家のお隣を見ると いつもは窓も締まり 雨戸も締まったままの大きな屋敷の窓が開いているのに気が付いた。 ---誰か引っ越して来たんだろうか? もう 俺が知っているだけでも6年くらい誰も住んでいなかった家に誰かが住むのかもしれない。 興味本位で 俺はその家をじーーっと眺めていていると・・・・・ 2階の窓から 小さな女の子がこちらを見ているのに気が付いた。 俺が見ていた窓とは3部屋離れた窓だ。 手にはパンダのぬいぐるみを胸に抱いて持っている その女の子と目が合った。 女の子は俺と目が合ったのがわかったのか 『クスッ』と笑ったような笑顔を見せて手を振って来た。 俺は一瞬で その女の子に興味を持ち始めた。 すごくかわいい 笑った顔が天使のような女の子だった。
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