第1章

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俺は30歳独身男。 彼女なんていやしない。 大好きな女優は宮崎あおい。 彼女の笑顔を見ていると心の底から癒される。 あんな女性が近くにいたら絶対に告白するのに! なんて考えていたら、とんでもない大事件が起きた。 先日、隣の空き部屋に『宮崎あおい』が越してきたのだ! まだ、顔は見ていないが、表札はしっかり『宮崎あおい』と書かれている。 もしかして、あの宮崎あおいなのか? ああ、俺の大好きなあおいさん。 ちょっとまてよ。 『宮崎あおい』が引越しの挨拶にきた時、俺に一目ぼれしたらどうしよう! そうなったら、次の日から夕飯のおすそ分けが始まっちまうな。 最初は肉じゃがだろう。 次はカレー。 だんだん、オムライスとかになるんだろうなあ。 ケチャップで愛の言葉とか書かれていたらどうしよう。 ピンポーン チャイムだ!!!! 絶対『宮崎あおい』の挨拶だ! 間違いない! 「ピザの宅配でーす」 ちっ。違ったか。 そういえばピザ頼んでたんだった。 俺はピザを受け取って部屋で食べ始めた。 しっかりとコーラもつけて。 あおいさんはピザ好きかな。 俺の大好物なんだが。 あ、おい。デブだと思ったな。 違うんだ。 こう見えて体は鍛えている。 あおいさんにいつ出会ってもいいようにな! ピンポーン また、チャイムだ! こんどこそ、『宮崎あおい』だろう。 「新聞の集金でーす」 ちっ。集金かよ。 俺は財布を手に取って、新聞屋にお金を渡した。 つるつる頭の新聞屋だった。 俺もそろそろああなってしまうのか。 絶対スキンヘッドにしてやる。 バーコードなんてごめんだね。 上司に何を言われても知ったことか。 俺はスキンヘッドにするからな! あおいさんは髪がある人の方がいいだろうか? いや!あおいさんみたいな人は男を顔で判断したりしないだろう! 間違いない。 絶対そうだ。 ピンポーン またチャイムが鳴った。 今度こそ! 「こんにちはー。隣に越してきた『宮崎あおい』です。ご挨拶に伺いましたー」 きたああああああああああ!! 「はいはーい」 俺は鏡で髪の毛を整えて、ルンルン気分でキッチン横のビクトリーロードを走っていった。 天国への扉に手をかける。 手はぶるぶると震えていた。 ついに、ついにっ! そして、ドアを開けると、俺はあごの骨を地面に落として、愕然とするのだった。
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