プロローグ

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今回は、見知らぬプレイヤー同士が総コストが均衡するようにランダムで組まれたチームデスマッチのゲリラ戦。 腕試し、単に資金稼ぎというのもあるだろうが、一番多いのはバディ探しだ。 シオンが、ログを確認している間に、既に2組のバディが成立したらしい。 寸前まで敵対していたプレイヤーとも打ち解ける切っ掛けになるのも、ゲリラ戦の醍醐味だ。 彼等は今後、広大な“オープンワールド”を共に駆ける事だろう。 実際、今回の試合は中々に良い内容だった。 ライトマシンガン持ちは勿論、相手の大盾持ちも良いディフェンダーだったし、自陣のゲオルグの指揮も的確だった。 何より、グレネードで相打ちに持ち込んだ――チャットの内容から≪ファンス≫だと分かった。 戦闘技術は、まだ拙いが、臆せずに敵に向かい、多くの敵をスポットした彼が一番の功労者だろう。 このまま経験を重ねて行けば、“良い上級者”になる筈だ。 シオン自身も共闘も敵対も気持ちの良いものは久しかった。 毎度、こうならば、この“世界の住人”が減る事も無いと思う。 だが、広い世界(オープンワールド)には様々なプレイヤーが居る。 中々、上手くは回らないのは、どんな世界でも変わる事は無い。 ボンヤリと、彼等のチャットを聞き流しながら、携行品と残弾数を確認する。 試合での消費・消耗はリセットされない。 携行品カテゴリーの地雷はそうでもないが、スナイパーライフルの弾薬は、単価が他の種類より幾分高い。 それに、レアリティが星5つともなれば、耐久度の回復も馬鹿にならない出費になる。 黒字には黒字だが、あまり贅沢は出来ない懐事情だ。 開いたキャラクタープロフィールに表示された所持Gを眺めて、小さく唸る。 と、
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