10人が本棚に入れています
本棚に追加
なんなの?卑怯者め。でも、それって私、逆に見張られてるってことじゃない?
今日は居るみたいだから、やめておこうと。
そう考えると、ますます怖くなった。
夕方、私は食後に眠くなってしまい、ソファーでうたた寝をしていたようだ。
突然のチャイムの音に飛び上がった。
私は慌てて、モニターをオンにして外を伺った。
「ひぃっ!」
私は驚いてひっくり返ってしまった。
画面の下から、黒髪が覗き、そして血走った目が大アップで映し出されたのだ。
「ピンポンピンポンピンポン、ピピピンポピンポピンピポンピンポピンポ」
突然狂ったようにチャイムが連打された。
画面では長い髪の女が狂ったように、髪を振り乱しながらチャイムを押している。
目を見開き、口は大きく開き、よだれを垂らさんばかりに笑っている。
「何なの?誰っ!」
私は、腰が抜けたまま、キッチンの床に座り込んだまま叫んだ。
すると一瞬チャイムが止まった。
「ぴぃんぽぉんだっしゅじゃあな~いよぉ~?」
ねっとりとした気持ちの悪い声だった。ちょうどボイスチェンジャーを通したような。
あははははと狂ったように笑うと、またチャイムを鳴らしはじめた。
「ウルセエな、何やってんだ!このあまっ!」
ついに耐えかねて、隣人がドアを開けて怒鳴りつけている。
私は、一瞬隣の男性が救世主に思えた。その女を追い払って。お願い。
次の瞬間、女は振り向きざまに、男を刃物で刺した。
「うぎゃあ、な、何すんだ!」
男は後ずさりながら腹を押さえた。
女は素早い動きで、男の腹部をもう一度刺すと、すかさず胸も刺した。
「きゃあああああ!」
私はモニターの中の惨劇を見て、足がガタガタと震えた。
た、大変。きゅ、救急車、呼ばなきゃ。
震える手で、警察と救急車を呼んだ。
一通り男を刺し終わり、満足した女は、再びインターホンを覗き込むと、またチャイムを押し始めた。
「ピンポンピンポンピンポン、ピピピンポピンポピンピポンピンポピンポ」
血まみれの手で押し続けるから、カメラ部分に鮮血が飛び散った。
「や、やめて・・・・。」
私は震える声でやっと搾り出した。
笑う、笑う、笑う。狂ったように笑い、押し続けられるチャイム。
あまりの恐怖に、私は失神してしまった。
最初のコメントを投稿しよう!