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私は、電車に揺られ、駅から10分かけてようやく自宅に帰りついた。
はあっ。もうこんな時間。朝の始業が遅いので、満員電車に揺られることは無いのだが、
さすがにこの時間までの残業はきつい。
家の鍵を開け、玄関を抜けるとすぐにキッチンがあり、そこの壁にインターホンがある。
備え付けのカメラ付きインターホンのライトの点滅が、来訪者を告げている。
昼間にセールスでも来たのかな。そんな軽い気持ちで、モニターを再生して確認した。
「あれ?誰もいない。」
最初は、いたずらかと全く気にしていなかった。
ところが、それは、その日から毎日起こった。
いったいなんなの?毎日、毎日。インターホンのボタンを押せばカメラが自動的に稼動して録画するようになっているから、必ず来訪者が写るはずなのだ。
インターホンのボタンを、顔が見えないように押して、そのまま逃げてるとしか思えない現象だった。
誰なんだろう、性質の悪いいたずらをするのは。
通販で結構物を購入するので、見ないわけにはいかないのだ。
そして、その行為は日に日に、エスカレートしていった。
一日に何件もの録画の記録が残っており、酷い時には、1時間おきにインターホンが鳴らされているようだ。
留守中とはいえ、気味が悪い。
恨みをかう覚えもまったくないし、もしかしたら、知らないうちにストーキングされているのだろうか?
ストーカーなら、もっと他に兆候があってもよさそうなものだ。
つけられてると感じたこともないし、最近は歳をとってしまったので、めっきりモテたことがない。
職場での人間関係も良好だ。
家に居る時間帯には、いたずらされたことがないので、実害はないが、やはり気持ちの良いものではない。
私は、犯人を突き止めてやろうとしたのと、最近有給がすべてダメになっているので、これを期に有給を取って、家で見張ってみようと思ったのだ。
子供だったら、思いっきり叱ってやらないと。
ピンポンダッシュなんて幼稚なまねをして許さないんだから。
ところが一日中家に居ても、まったくチャイムは鳴らされなかった。
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