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「いつも、泣くのを我慢した顔してる」
「そんな事無いよ…、く、ろ…さわさ‥んと、だって、なんでも…な、いし……」
否定したいのに、思考回路がパンク寸前で、抑えようがないくらい、声が震える。
こんなの、言葉で否定してても、見るからに嘘だとバレバレだ。
「いいよ、隠さなくて。…隠しても、無駄だから」
「……なんで…?」
「言ったろ?」
優しい微笑みと共に、続く言葉。
「…ずっと好きだったって。…ずっと、見てたんだ。お前の強がりくらい、わかるよ。」
自動車のクラクションも、
歩道を歩くスーツの人の話し声も、
工事の渋滞も、
無数に光る街灯も、
空に輝く月さえも、
全て視界から消えて、
私の世界は、倉本ただひとり。
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