第1章

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テーブルに無造作に置いていた携帯の振動に気づいて、流していた音楽を止めた。 会社からの電話だ。 「はい、もしもし」 「すいません。帰国でお疲れだとは思いますが、明日仕事大事ですか?」 「仕事の内容によります」 「昼に、音楽番組が入ります。伝説のアーティストスペシャル企画です」 「へぇ。伝説のアーティストって、他に誰がでるの?」 「タチバナユウスケさんが、結城さんがでるならという条件で出演予定です」 「ユウスケがでるなら、俺もでるよ。昔のメンバーだからね。それに、今の音楽について語りたいから」 「あ、それから、結城さんと対談を熱望するアーティストがいるんですよ。一応、それも目玉企画です!!」 「対談? 誰と?」 「結城さんがアメリカに音楽の拠点を移してからなんですが、今最も勢いのあるバンドなんですよ。そのボーカルが結城さんに憧れて音楽の世界に入った方らしいです」 「名前は?」 「中原公志さんです。silversoulのボーカルです」 「いいよ。今ちょうど彼らの音を聴いてるよ。確かにこれは響くよ。心にね」 久しぶりに出会った強烈な音色に、鳥肌が立っていた。
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