1人が本棚に入れています
本棚に追加
風船の紐にぶら下がる子猫達が、悲鳴をあげた。
・・・・・・
「わーーー見ちゃいられない!!もうあの紐の先の白猫が今にも落っこちそうで怖いよおー!!」
「慌てるな!!サク!!あの鳥達に任せようと思ったんじゃねえの?!」
「うるさいよレミ!!このままあの子猫をほっとけ!!とでも言うの?!」
ばさばさばさばさ!!
トキのサクは翼をはためかせて、フワフワと揺れ動く黄色い巨大な風船へ向かって飛び出した。
「やっぱり・・・俺も!!」
ばさばさばさばさ!!
カワウのレミもまた、サクに付いていった。
・・・・・・
・・・・・・
風船の下。
「鬼さんこちら!!猫さんこちら!!取りついた?ピーコちゃん!」
「うんしょ!うんしょ!ここかな?目が・・・目の焦点が・・・」
セキセイインコの隻眼の牝ピーコは、子猫のパンの前肢の攻撃の囮になっている雄ピータンの隙をついて、風船の吹き口の膨らんでる本体のすぐ真下に鉤爪をまさぐらせた。
「よし!ここよ!!さあ引っ掻くよ!!」
鉤爪を風船にぷすっ!!
ぷしゅーーーーーーー・・・!!
「任務成功よ!!ピータン!!」
「や、やったなぁ!ピーコちゃん!!」
・・・・・・
・・・・・・
「ちゅん・・・あっ!!この風船の上の『ぽっち』みたいのは?!」
スズメのチュコは、黄色い巨大な風船の色の一番濃い部分をの盛り上がってる部分を探し当てた。
「ちゅん!ちゅん!ここだわ、ここだわ。」
スズメのチュコは、小さい脚の鉤爪をその風船の先っちょに宛がった。
「引っ掻くわよ・・・引っ掻くわよ・・・」
鉤爪を風船にぷすっ!!
ぷしゅーーーーーーー・・・!!
「ひゃっほーーー!!任務成功っ!!空気抜けるーーーー!!風船萎んじゃえーーー!!ちゅん!ちゅん!ちゅん!」
・・・・・・
・・・・・・
「どっちも成功したみたいだね。レミ。」
「ねえ、サク。」
「なあに?レミ?」
「よく、爪を差しても風船が割れない部分を解ったねえ。何で知ってるの?」
「それはね、これ。」
「これ?」
トキのサクとカワウのレミは、首にかけてある風船の栓の『仲間の証』ペンダントを見つめた。
「僕と君が出逢った時、覚えてる?」
最初のコメントを投稿しよう!