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「でも・・・」
「『でも』じゃない!!風船を見ろ!!もうしおしおだ!!これ以上、空気を吹き出せなくなってるぞ!!
まもなくこの風船は墜落する!!
だから、離れろ!!
後は、何とかなるさ!!」
「えーーー!!」
「死ぬよーーーー!!」
「もういい!!俺から離れる!!冥土で逢おう!!俺達は『猫』だ!!『猫』の力を信じろ!!」
ばっ!!
耳黒の子猫ピンが飛んだ。
「うわっ!!子猫が離れた!!見てられない!!」
トキのサクは、思わず目を背けた
「バカ野郎!!助けるんだよ!」
カワウのレミは、速攻で墜落する子猫のピンの側へ飛んでいくと、
ボスッ!!
「助かったーーー!!」
見事に、カワウのレミの背中に子猫のピンが乗っかった。
「ありがとう!通りすがりのカワウさん!!」
「いえいえ、どぉも!可愛い子猫ちゃ・・・うわっ!」
「わ・・・わたしも!!えいっ!!」
今度は、キジトラのポンが紐を離して空中を舞った。
「わーーーっ!!また子猫が墜落するーーーーっ!!」
トキのサクは慌てふためいた。
「馬鹿野郎!!サク!!早く子猫を受け止めろ!!」
「は・・・はい!!」
まっ逆さまに墜落する子猫のポン。
それに合わせるように、トキのサクは高度を合わせる。
「ここだ!!」
びゅーーーーーーー!!
グサッ!!
「痛いっ!!」
トキのサクの尾羽の付け根に、子猫のポンの爪がもろに刺さった。
「痛いっ!!痛いっ!!痛いっ!!痛いっ!!」
トキのサクのバランスが崩れた。
「サクー!!」
カワウのレミは、目を覆った。
「うんしょ!うんしょ!うんしょ!うんしょ!ふぅ・・・」
子猫のポンは、やっとトキのサクの背中に登れた。
「やあ、子猫ちゃん!君はラッキーだぜー!!だって絶滅種の俺様と飛んでるんだぜー!!」
「後、一匹・・・」
「あーーーーーーーー!!」
最後の1匹、黒白猫のパンは爪にすっかり萎みきった巨大風船の吹き口に引っ掻けたまま、真っ直ぐに墜落してるのを、レミとサクは発見した。
「うにゃーーーっ!!うにゃーーーっ!!」
子猫のパンは、パニックになり必死にバタバタと空中で暴れた。
「パン!!」「パーーン!!」
2匹の子猫達は、墜ちていく兄弟猫に悲嘆の叫びを挙げた。
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