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「吹けーーっ息を風船に俺らが開けた穴に息を吹き込んで膨らませーーー!!」
「馬鹿野郎!!猫の息で風船が浮く訳ねえだろ!!『猫』なんだから、はらりと着地するでしょ?」
「何言ってるんだ!!下はでっかいダムだ!!」
「げぇっ!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!!
子猫のパンが墜ちていく真下には、大規模なダムが今か今かと満々と貯まる水という『地獄』の口を開けて待ち構えていたのだ。
ぷつっ・・・
「うにゃーーーーーーーっ!!」
遂に、子猫のパンの爪が萎んだ風船から離れ真っ逆さまにダムの中へと墜ちていった。
「わーーーっ!!」
「モウダメダーーーーー!!」
レミも、サクも、2匹の子猫達も、目を被った・・・
その時・・・
ばーーーーーーっ!!
ばーーーーーーっ!!
ちゅんちゅんちゅんちゅん!!
「・・・?!」
「ふーーーっ・・・間に合った!!」「間一髪だった・・・!!」「大丈夫?子猫ちゃん?!ちゅんちゅん?」
子猫のパンの背中には、セキセイインコのピータンとピーコ、そしてスズメのチュコがそれぞれ脚の鉤爪でしっかり抑えて持ち上げて飛んでいたのだ。
「た・・・助かった・・・!!」
「有難うさん!!小鳥たち!!」
カワウのレミとトキのサクは、必死に引っ張って飛ぶインコとスズメに、感謝の声をかけた。
「パン!!無事で良かった!!」
「だって、俺達3匹で1匹だ!!こんなとこで死ぬ訳ねえよ!!なあ、パン!!」
子猫の兄弟のピンとポンも、嬉し涙を流して喜んだ。
3匹の子猫を飛ばして萎んだ巨大風船は、はらりはらりと舞い墜ち、巨大ダムの中へと吸い込まれていった。
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