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「まず、インコ達!あの風船の吹き口の結び目の奥を脚の爪で引っ掻いてくれ。中から、空気が出てきたら成功だ。」
「はいっ!」「はーい!」
ぱたぱたぱたぱたぱたぱた・・・
ぱたぱたぱたぱたぱたぱた・・・
「スズメのチュコちゃん!君は、風船の先っちょのゴムの硬い場所を探して脚の爪で引っ掻いてくれ。
くれぐれも薄く膨らんでるとこを引っ掻くなよ。パンクしちまって墜落させちまったら、あの子猫の命は無いからな。
解ったね?!」
「うん!あいあいさーっ!」
ぱたぱたぱたぱた・・・
「大丈夫かなあ?こいつらで?」
「やるしかないっしょ?信じましょ!!」
・・・・・・
・・・・・・
風船の下では・・・
「にゃおん!うにゃん!まてー!まてー!小鳥ちゃーん!!にゃん!うにゃん!」
ぱたぱたぱたぱたぱたぱた・・・
「ひっひいいいいい!!」
「猫!!猫に捕まえられるーーー!!」
風船の吹き口に爪でひっしと掴まる子猫のパンのブンブンと振りかざす前肢に翻弄され、セキセイインコのピーコとピータンはなかなか風船に取り付くことが出来なかった。
「にゃん!にゃおん!にゃおん!小鳥さーーーん!!逃げちゃだめだよーーー!!にゃおん!にゃおん!にゃおん!」
「猫!!猫嫌いーーー!!」
「何言ってるの!!この『猫』を助けるってあの黒い鳥と白い鳥に約束したんでしょ?!
うわっ!!私まで!!きゃっ!!」
「ピーコちゃん!!片目が見えないんでしょ?!無理しないほうが!!うわっ!!と、取り付けない!!風船のあの先っちょに!!邪魔っ猫脚邪魔っ!!ひっひいいいいいっ!!」
ぱたぱたぱたぱたぱたぱた・・・
ぱたぱたぱたぱたぱたぱた・・・
・・・・・・
・・・・・・
風船の上では・・・
「ちゅんちゅん!!でっかーーーーーい風船!!きゃははーーーっ!!」
スズメのチュコは、本来の任務を忘れて風船のゴムの表面を翼でぽよんぽよんと弾力の感触に興奮していた。
「ちゅんちゅん!!ちゅんちゅん!!あ、そうだわ!!大変な任務・・・ちゅん!!」
びゅうううううう・・・!!
いきなり突風が吹き、風船を激しく揺らした。
「にゃあーーーー!!」
「うにゃーーーー!!」
「みゃぁーーーー!!」
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