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【翌々日】
「はあー? 何で俺っちが? あ、引越しそばのお礼ってワケね」
「庄三郎。そなたは黙っておれ」
「伊右衛門さんよ、どうしたの?
あれ、漢方医の陳先生にゲエジンさんの奥さんまで。むむむっ? パーテーとかいう西洋風のドンチャン騒ぎかい?」
そば打ち庄三郎、全くこの場の空気を読まない態度で、口笛吹き吹き椅子に腰掛けていた。
「よし! これで役者は揃ったな」と陳先生。
「へ? 何のこってす」庄三郎、ポカーンと口を開けて、空のティーカップを眺めておった。
「先日、ジェローン様が何者かに毒を盛られた」
「毒!」と伊右衛門殿。「ポイズンッ!!」夫人も口を覆う。
ふと思い出した様に、伊右衛門いわく
「し、しかし、拙者がお毒見した時は何も異状がなかったし、この通り同じ紅茶と『くれえぷ』を食した拙者も奥様もピンピンしておるが?」
「……うむ。確かにな。だが、ジェローン氏は確かに中毒症状を示しておった」
陳先生は、口ひげを指で摘むとポツリ一言
「『アレルゲ』中毒症状じゃったのだよ」
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