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「あ、あれるげ?」庄三郎も首を傾げる。
「アレルゲとは、人間の体の中にある種の異物が侵入することで、過剰な反応をその人の内部で起こし、数々の症状を引き起こすことなのじゃ」
伊右衛門、夫人、庄三郎は、揃って頭部を斜め45度に傾けた。
「……異物と言ったが、これは身の回りにある物がその人の体質によっては『猛毒』になることもあるのだ。
例えば、ホコリや草花を吸い込むと涙やクシャミが出て止まらなくなったり、他にもサバやイワシなどの青魚食って発疹が出たり、他にはハチに刺された時に毒のせいで呼吸困難になったりなど、症状も様々じゃ」
「そ、そのアレルゲとやらが、ジェローン殿の事件とどう関係あるのですかな?」
伊右衛門殿、額に細かい汗を滲ませ聞いた。
「アレルゲ症の中でも『アナフィラキシー』と呼ばれる症状は、特に厄介なのだ」
「あな・ふぃふぃふぃらきー?」庄三郎、舌を噛む。
「そう。アナフィラキシー。さっき言ったハチに子供の頃刺された者は、大人になってもう一回刺されると、以前より重い症状が出ることがある。
呼吸困難、心臓麻痺、場合によっては死ぬことすらある!!」
「ヒッ!?」と庄三郎。
「そのアレルゲの原因物質に、ある物が報告されておる」
「それは何かと問いたいが」
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