8人が本棚に入れています
本棚に追加
「そば、じゃ」
「そ、そばーっ!?」全員が声を揃えて絶叫。
「そう。ジェローン様を亡き者にしようとした犯人は、彼の体質『そばアレルゲ』をよく知っており、彼の食事に細工が出来る者。
つまりは、ご夫人。あなたということになるのだ!!」
イザベラ、一瞬固まるがすぐに冷たい笑顔に豹変。
「なーにゆってんのよー!?
あの人は、ソバなんて食べなかったわよ。
だって、蛇入りのパスタとか言って、全然口つけなかったもの」
「いや、確かにジェローン氏はそばを食していないであろう。
だがな、そばの粉だけでも十分に猛毒となりうる。そう、あのクレープはただのクレープではない。
そば粉のクレープ『ガレット』なのじゃ!!」
「え、ええええええええっ!?」庄三郎、伊右衛門絶叫。
「そ、そうだ。イザベラ、君は僕の遺産目当てに、僕が幼い頃『ガレット』で体調崩したことを知って、そばアレルゲを悪用した殺人計画を実行したんだね?」
ジェローン氏は、泣きはらして痩けた顔で夫人に対峙する。
「な、何の証拠があって……」
「今、君が飲んでいる紅茶には、猛毒が入っている。
陳先生が煎じた清国の毒キノコの粉末だよ。フフフフフフ」
ジェローン氏は、泣きながら笑い、幽霊さながら。
最初のコメントを投稿しよう!