小噺(こばなし)・引越しそば妄騒記(もうそうき)

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「ゲエジンさん、アンタ今日はツイてるね! あ、ノってるね!!  お近付きの印と言っちゃなんだが、俺っちのそばを食いなっせ。  食いねえ、食いねえ、そば食いねえ」  庄三郎殿は、天秤ばかりに掲げた小箱から、和紙で包まれた何やら粉を吹いた物体を取り出し、ジェローン氏の前にずずずずいっ、と差し出すううう。 「お、お、オー!?  なーんですかー? この緑色の怪しげなるパスタは!!」 「へいっ! こいつは、俺っちが江戸で修行して手打ちしたホンモンのそばでえい。ぱすたとかいう、南蛮の麺料理みてえに、ごったごたした煮汁をかけて元の味を分からなくするってのは、ねえ? 粋じゃないってばあよ」  ジェローン氏、グリーングリーンな初めて見る「ジャポネーゼ・パスタ『ソバ』」におったま仰天、ビックリ栗きんとん! (こ、これは、まさかパスタの中に緑色のヒキガエルか、はたまたそこいらに生えている雑草でも練りこんでいるのでは、あるまいか!?)  ジェローン氏、脳内警報発令中!! (い、いや……野蛮なジャポネーゼは、開国まで爬虫類をも食していたそうでは、あーりませんか! ということは、へ、へ、蛇のパスタ!?)
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