D・M・A

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ぎぃん!ぎぃん!ぎぃん! 両側から繰り出されるナイフを爪でいなし続ける。 木々を障害物として利用しているため、遠距離攻撃はしなくなったものの、近距離戦も慣れているようで、鋭い太刀筋。 木を利用し、爪をかわし、隙をうかがい的確に急所を突いてくる。それも二匹同時。かなりの連携。 犬毛が舞い散り、手傷が増えていく。 絡みつく蛇のように、しなやかに伸びる腕。頬肉を抉られながらかわす。 低い姿勢から繰り出されたナイフ。 横から膝ではじく。 火花が散るような目まぐるしい戦いが続く。 垂れる冷や汗。 まずい。 連携が巧みすぎて超速域に入る間がない。下半身に魔力を溜める間がないのだ。 こいつら二匹共、手練れ。 どんっ。 半ば強引に懐に踏み込んでくる、よく見れば初老の男。 鳩尾に肩を入れられ、倒され。 ざしゅっ! 苦し紛れの爪が浅く男の顔を傷つける。 後ろに倒れ込むポチ。怯む初老の男。 右から中年の男が迫るのが見えた。 だが。 後ろに倒されながらも、わずかに笑うポチ。 だんっ!! 一瞬だけ開いた間。 この間が欲しかったっ!! 片足だけ一気に限界まで強化し、大地を陥没させながら後ろに飛ぶ。 男達の視線だけがポチを追う世界の中で。 全身の魔力を活性化させ。     「全力っ!全開っ!!狼モードぉぉぉっ!!」 四つん這いに着地と同時に全身を強化。 歪む視界。 遅くなる時。 逆立つ犬毛。 そして糸を引く、犬歯。 にちゃぁぁり。 狼が笑った。
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