息吹

3/12
前へ
/1381ページ
次へ
大鳥の鋭い爪が赤子に突き刺さった瞬間、赤子周囲の大地が吹き上がり、中から飛び出した何かがその首に食らいつく。 ぶぢぃっ! その強靭な顎は細い鳥首を易々と噛み千切り、ぐちゃぐちゃと汚らしく飲み込んでいく。 ぶちぶち。 ばりばり。 ぶちぶち。 ばりばり。 隣で泣く赤子には目もくれず、ひたすらに貪り続けるその小さな人影は。 突き出し、醜く潰れた大きな鼻。  鋭く黄色い犬歯。 小さいが岩のような真っ黒な肌。 短い手足。 醜く突き出た太鼓腹。 それは、豚のような小人のような。 それはオークであった。
/1381ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2471人が本棚に入れています
本棚に追加