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焦りと共に矢継ぎ早に繰り出されたナイフがゆっくりと見える。
右のナイフを右爪で跳ね上げ、左の爪で切り捨てる。
左から雷撃。遅い。
胸をそらし、回避。
魔法を撃ち出した体勢のまま固まった人間の喉元に噛みつき、噛み捨てる。
傷を押さえてうずくまる人間と、喉を押さえて転げ回る人間と。
どちらも致命傷までは与えていない。魔物としては甘い所だが、マァマがあんなことになったばかりの状況。無駄な殺しはしたくないのだ。
こちらを怯えた目で見上げる人間共に牙を剥いて威嚇し、踵を返す。
ミノコの方は・・・。
林の中、木々の合間から見えたものは巨体。
慣れている自分ですら普段の女モードとは似ても似つかない、家程の大きさもある毛むくじゃらの巨大牛。ミノコのミノタウロスモード。しかもあの様子だと雄モード。
一瞬、その姿に安心し、そして気づく。
なぜ、あの姿に?
それほどの相手がいたと言うのか?
嫌な予感を胸に、岩穴へと走るポチ。
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