ごまかし(続き)

4/10
178人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
「服部さん……?」 無言のままでいるのに、耐えられなくて、声をかけると、 服部さんはふぅっと大きくため息をついてから、顔をゆっくりこちらに向け、私と目を合わせた。 服部さんの表情はまだ硬くて、不安が募る。 「あ、あの。さっき言ったこと、迷惑なら忘れてください……」 「イヤ……。 迷惑ってわけじゃないんだ。 ……だけど、戸惑ってる」 「……戸惑い……ですか」 付き合って欲しいって言ってくれたのは、服部さんだ。 なのに、どうして……。 「田口さんと付き合いたいと思っているのは確かなんだ。 だから、さっき言われたことは、すごく嬉しいはずだったんだ」 服部さんは言葉を選びながら静かに話し始めた。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!