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「…………」
抱いていいですよ。
一瞬、口から出掛かかった言葉は、飲み込んだ。
抱かれちゃダメなんだ。
私、決めたんだ。
本当に好きな人と結婚するまで、
もう誰とも関係を持たないって。
「たぶん今、田口さんの気持ちを無視して付き合い始めたとしたら、また以前と同じように、無理矢理でも引きずり込んでしまいそうで、怖いんだ……」
私の気持ちを無視して、か……。
服部さんは、ちゃんとわかってる。
まだ私の気持ちが完全に服部さんに向いているわけじゃないことを……。
『服部さんで、いい』じゃだめなんだ。
『服部さんが、いい』じゃなきゃ。
私が何も言葉を発せずにいると、
「なんか情けねぇな……」
服部さんは、ため息まじりにポツリと呟いた。
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