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「情けなくなんてないです!」
私は、慌てて否定した。
服部さんは、優しくて、強い人なんだ。
「君が誰を好きでも関係ないと思ってた。
だけど、いざ付き合うとなると躊躇するなんてな……」
服部さんは、ふぅっとため息をまた付いて、視線を車の外に飛ばす。
「……本当に、優しいんですね……」
私は、服部さんに委ねたかったのかな。
私の気持ちの行先を。
服部さんは大きな手を私の頭の上にポンっと乗せた。
「ちゃんと森川と話し合ってみたら?
あいつが何を考えてるか、俺にはわかんないけど、
田口さんの納得がいってないんだろ?
俺の前で、無理して笑わなくてもいいよ。
そんなに結論を急がなくてもいい」
頭に乗った手が温かくて、涙が浮かぶ。
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