179人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
「森川くんとは、もう……終わったんです。
元々、付き合ってなんていなくて、
ただ、なんとなく気になっていただけで。
たった一つの繋がりだった事も、終わってしまったし
もう全然関係なくて……」
目の前で散々女の人とイチャイチャしているところを見てしまったし、
常にバカにされているような態度だったし、
始めから望みなんてなかった……。
だけど……。
仁と終わったばかりのあの日の屋上で、
少しづつ動き始めた私の鼓動。
森川くんの声も、笑顔も、ぬくもりも、
ちょっとの優しさも、冷たい態度も。
全部、頭の中から消えない……。
「でも、彼女と別れるって、言ってくれたのに……」
優しいキスもくれたのに……。
最後の言葉を絞り出すと、瞳に溜まっていた涙がポロリと頬をつたっていった。
最初のコメントを投稿しよう!