翼の折れたコンドル

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「本部長!!もうええかげんにしてくださいよ!!本部長は訓示で県民の生命財産を守ることが任務だと言っておいて何なのですか一体!!本部長!!よそみをしていないで私たちの方を向いて下さい!!」 「そないに大声を出さんでも聞いているよぉ…」 「本部長!!埼玉県警からの捜査協力の要請が出ているのは、熊谷市で発生しました強盗殺人事件の容疑者のサカタミツグが愛媛県内に潜伏をしていると言う情報が入ったので、本部長に捜査の協力のお願いをしているのです!!」 「そんなことは分かっているよぉ…」 「だったら、埼玉県警からの要請を受け入れて下さい!!お願いします!!」 「分かっているよぉ…受け入れるよぉ…だけどな…ミツグさんは苦しんでいるのだよぉ…」 あずさの父親の言葉を聞いた副本部長はムッとした表情でこう言ってきたのでありました。 「本部長…本部長は今、何とおっしゃったのでしょうか…ミツグさん…あんたサカタミツグとどのような関係があると言うのでしょうか!!」 「どういう関係って…」 「本部長!!あんたね!!キョトンとした表情で言わないで下さい!!サカタミツグとあんたはどういうご関係があると言うのでしょうか!!」 「どういう関係って…」 「あんた…もしかして、サカタミツグが逮捕されたら困る理由があるのでしょうか!?」 「えっ!」 「本部長!!答えて下さい!!本部長はサカタミツグとどのような関係があると言うのでしょうか!?」 「どのような関係がある…関係があるから困ると言っているのだよぉ…」 「あんたね!!サカタミツグには前科があるのですよ!!その事を分かっていてミツグさんと言ったのでしょうか!?」 「もうしんどいのだよぉ…家へ帰してくれよぉ…」 「本部長!!今日と言う今日は許しませんよ!!あんたね!!強盗殺人事件の重要参考人で前科があるサカタミツグを県警本部長が身内ぐるみでかくまっていたことがオオヤケになれば、あんたは本部長の職を失うことになるのですよ!!その事は分かっているのですね!!」 「もういいよ…あんたらワシをよってたかっていい続けた後に、ワシに県警本部長をやめいと言っているのだな…分かった…」 あずさの父親は、弱々しい声でこう言った後に背広の内ポケットから辞表を出しましたので、副本部長はなおも怒った口調でこう言ったのでありました。
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