漆黒の月～家族が廃人になってしまった日

翼の折れたコンドル(後編)

１

ミツグは、2015年11月13日に発生しました事件で亡くなりましたので、埼玉県警は熊谷市の強盗殺人事件のことにつきましては被疑者死亡のままさいたま地検に書類送検をしました。

ミツグが起こしたその他の事件につきましても地検へまとめて書類送検となりましたので、大きなシコリを遺したまま事件は幕引きとなってしまったのでありました。

あずさの父親は、愛媛県警の本部長を懲戒免職となった上にゆういちろうが殺人の現行犯でケーサツに逮捕されてしまったことから、残された家族はさらにつらいイバラの道を歩くことになってしまったのでありました。

あずさとゆういちろうの長女・ゆみかは短大にいた時に男子学生とのトラブルを起こした上にレイプの被害に遭った上に短大にも居場所をなくしてしまいましたので、短大をやめて結婚することになりました。

ゆみかは、高松で暮らしているゆういちろうの親族からの命令で志度(さぬき市)の鋼板工場に勤務しているもとひこ(28歳)と結婚をして、胎内の赤ちゃんを育てることに専念せよときつい口調で言われましたので、仕方なくお見合いをして結婚をしたのでありました。

事件が発生した翌年に、ゆみかは長女ゆみえを出産しましてママになりました。

もとひこは、赤ちゃんが生まれて来ましたので一生懸命になりまして工場で働いていました。

一家は、高松市円座町にあります二階建ての借家で暮らしていましたが、2017年秋にあずさとふみかが保内町(八幡浜市)のあずさの母方の実家に居場所をなくしてしまいましたので、高松で暮らしているゆみか夫婦の家にやって来まして同居生活を始めたのでありました。

ふみかはこの時、保内町の学校から円座の学校に転校をしまして、あずさも円座にありますスーパーストアーでパートの仕事を始めたのでありました。

それから時は流れて、2019年10月３日のことでありました。

一家は、最初の１年は仲良く暮らしていたのでありましたが、ゆみえが４歳になったあたりから家庭内の人間関係がおかしくなってしまったのでありました。

おかしくなってしまった原因は、テレビのチャンネル権をめぐってでありました。

この日の夕食が終わった後のことでありましたが、もとひこは７時から見てみたい番組があるのでテレビを見ていた時に、ゆみえが急にダダをこねていましたので問題が発生したのでありました。